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協力研究員(理研所属):平田 忍 ダウンロードへ 論文リスト>>

研究の概要

動的陽解法FEMによる生体硬・軟構造の衝突損傷解析

 人体頭部は、硬組織である頭蓋骨および軟組織である脳によって構成されている。この頭部が衝撃荷重を受けた場合の頭蓋骨および脳に生じる損傷を予測するシミュレーション手法の開発を主要な課題とする。
そこで、これまで測定された有限要素人体材料モデルであるESIモデルの頭部(図1)を解析対象とし、頭部に様々な剛体を任意の角度から任意の速度で衝突した場合の変形挙動および応力伝播を、動的陽解法有限要素法PAM-CRASH(ESI)により解析した(→論文リスト(1)-(3)
。円筒形の剛体を頭部前方および後方上方部に速度10.4m/sおよび2.6m/sで剛体を衝突させたときの結果を図2に示す。
図より脳において、応力集中は中央部よりやや後方に現れることが分かった。
また、衝突部と反対側の脳に負の応力が働き、応力波の伝播は不均一に起こることが分かった。これは脳が複数の部位で構成されていることより応力が一様に伝播されないためと考えられる。また、頭蓋骨と脳にでは伝播速度の絶対値が違うこと、脳においては伝わる応力波の大きさが頭蓋骨に比べて小さいことも分かった。これは、頭蓋骨と脳の間にある脳脊髄液が衝撃を緩和しているためと考えられる。しかし、実際の脳障害を調査した結果、脳全体がねじれるびまん性脳障害が非常に大きな割合を占めていることがわかった。
シミュレーションによる研究の方向性を探ったが、シミュレーション結果と実際の現象との比較検証の作業が困難であることから、本研究を一時停止とした。
図1 ESI Head Model

図1 ESI Head Model

図2 Propagation of Stress Wave
図2 Propagation of Stress Wave

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フルカラー生体断面画像を用いた六面体有限要素作成手法の検討

 我々は、有限要素法(FEM)を用いた網膜剥離手術シミュレーションの開発を行っている。ここでは、網膜剥離手術シミュレーションにおける眼球モデルの6面体FEM メッシュ作成方法について検討を行った。まず、人眼球を3次元内部構造顕微鏡(→横田秀夫のページ)で撮影した連続断面画像についてセグメンテーションを行ったデータ(→覺正信徳のページ)を形状モデルに変換する方法について検討した。イメージデータをAVS5.3により等値面をもつサーフェスデータであるポリゴンに変換し、このポリゴン情報を座標値形式で書き出す。こうすることで、イメージデータが形状データに変換可能となった(図3)。
図3

図3 (クリックすると詳細がご覧になれます。)

その後、ICEM CFD/HEXA(ANSYS)を用いてマップドメッシュ法により、6面体のテンプレートボックス(図4)を表面データに投影して、FEMメッシュ(図5)を作成した。また、得られた連続断面画像を元にVOXCELCON(クイント)を用いてボクセルメッシュを作成し、シミュレーションに用いる情報としてどちらが適しているか比較検討を行った。

図4 Mapped Mesh Method:(a)Template Box,(b)Mapped Mesh
図4 Mapped Mesh Method
(a)Template Box,(b)Mapped Mesh

この時、メッシュ数がほぼ同数になるようにした。図5にそれぞれのメッシュと立体画像を示す。マップドメッシュは立体画像とほぼ同じ外観形状を示した。しかし、ボクセルモデルでは連続断面間でボクセルの凹凸が目立ち、各組織において表面の形状が表現出来ていない。このことから、我々が求めるより少ないメッシュ数で連続断層画像を再現するには、マップドメッシュ法による6面体メッシュ作成が有効であることが確認出来た。

図5 Image and Mesh:(a)Volume Rendering,(b) Mapped Mesh,(c)Voxel Mesh
図5 Image and Mesh
(a)Volume Rendering,(b) Mapped Mesh,(c)Voxel Mesh

そこで、この方法を用いて眼球の各組織間が連続なメッシュ作成を行った。図6に示すように、各組織の境界面を見ると、お互いが連続かつ、接点を共有している。また、薄い膜の層をメッシュでうまく再現することが出来た。今後、より良い精度にしていくことが必要である。

図6 Image and Mesh:(a) Image,(b)Mesh Model
図6 Image and Mesh
(a) Image,(b)Mesh Model

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超弾性体の圧縮試験装置の開発

図7
図7 (クリックすると詳細がご覧になれます。)

 我々は,有限要素法(FEM)を用いた網膜剥離手術シミュレーションの開発を行っている.現在プログラムは完成しているが、このプログラムが実際の挙動をどのくらい再現するかの検証はまだ行われていない。そこで,このプログラムの再現性を検証するための実験システム(図7)の構築を行った.解析で求める値は,超弾性体を一定の値で段階的に圧縮したときの形状の変化,加わる圧力の変化,圧力が加わることによる内圧の変化である.これらを計測するために,精密万能試験機(島津)で水入り軟式テニスボールを圧縮し,そのときにかかる圧力をひずみゲージ圧力センサ(SENSOTEC)を用いて計測する.また,形状の変化は,電動モータを用いて位置制御したz軸ステージを用い,レーザセンサ(オムロン)を上下させて計測出来るようにした.これらの装置を使って計測した値をアナログ出力し,AD変換ボードを取り付けたパソコンに取り込みCSV形式で書き出す.試験終了後に測定データを計算することにより、圧縮量、内圧、外形寸法を半自動的に測定することが可能となり、実験結果の解析を容易に行うことが出来る.現在,測定システムおよびその制御システムが完成し、試験を開始したところである。

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