まず、骨梁レベルの力学刺激と骨形態変化とを直接関連付けたリモデリング則に基づき、骨梁リモデリングの大規模有限要素シミュレーションモデルを提案した。
次に、大腿骨近位部のリモデリングシミュレーションを行った結果、骨梁レベルの微視的な力学刺激の一様化により、巨視的な海綿骨レベルの力学状態に応じた骨梁構造変化が得られた。さらに、本シミュレーションモデルを、実際の三次元骨梁構造を精密に表現可能なデジタルイメージモデルに適用した(図1)。その結果、得られた骨梁構造の形態特徴量変化は、報告されている実験結果と良く一致した。一方、微小三点曲げ試験により、骨梁個々の力学特性は、その力学環境に大きな影響を受けない可能性が示唆された。
以上より、骨梁の形態の変化による、ミクロからマクロに至る海綿骨の構造適応過程が明らかとなった。
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図1
Image-based model of cancellous bone
in canine distal femur constructed from
X-ray
micro CT image data. |
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