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骨の再生・リモデリングの生体力学シミュレーションと医工学への応用 |
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骨は、発生、成長、再構築、再生、いずれの過程においても周囲の力学環境の影響のもと、適応的に形態や特性を変化させることが知られている。例えば、海綿骨においては、Wolffの仮説に代表されるように、海綿骨の骨梁構造が、周囲の力学環境に適応した形態を有していることが知られている。
このような骨の適応的変化を考慮したインプラントの設計、あるいは、生体吸収性材料からなる骨再生用Scaffoldの設計を行う上で、複雑な形態を考慮した骨のモデル化と生体力学シミュレーションの援用が不可欠となりつつある。 |
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図1
Cross section of newly formed bone in rat
cancellous bone defect model. |
図2
Trabecular pattern formation using a reaction-diffusion
system model. |
本研究では、骨の再生・リモデリングの数理モデル化とその生体力学シミュレーションについていくつかの検討を行った。
まず、ラット海綿骨に人工的に作成した欠損モデル内の海綿骨再生過程における骨梁パターンの形成について実験的検討を行った(図1)。ここでは、欠損内に形成される新たな骨構造をX線マイクロCTにより観察し、さらに、形成された骨の力学特性とCT値との関連を定量的に評価した。次に、生物におけるパターン形成モデルとして用いられる反応拡散系モデルに対して、力学因子による骨形成の活性効果を考慮することで、海綿骨の骨梁パターン形成モデルを提案し、計算力学シミュレーションにより、そのメカニズムについて力学的側面から検討した(図2)。 |
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図3
Bone regeneration simulation using a porous
scaffold. |
図4
Optimum shape of cantilever determined by
a traction method using Voxel-FEM. |
また、ポーラスScaffoldを用いた骨再生過程を表現する三次元骨再生モデルを構築し、骨再生過程における骨−Scaffold系の力学特性の変化を評価し(図3)、Scaffold構造の最適設計手法の枠組みを新たに提案した。さらに、物体形状のモデル化とその力学解析、およびそれに基づく形状修正を統合した実用的な形状決定手法の確立を目指し、Voxel-FEMを用いた力法による新たな形状最適化手法の提案を行った(図4)。 |
このように、骨の再生やリモデリングによる適応現象には、力学的な因子が大きく影響を与え、生体内において用いられるインプラント等の設計を行う際には、生体と人工物との力学的な相互作用を考慮した検討が不可欠である。
また、複雑な形状や階層構造を有する生体組織のモデリングとシミュレーションには、本研究で用いたデジタル画像に基づくモデリング技術とそのVoxel有限要素法の適用が有用な手法である。さらに、これらの手法の医工学への応用を考える上でも、生体と人工物をコンピュータ内でデジタル情報として融合し、力学解析を通じた生体内現象のシミュレーションを行うことにより、益々有用な情報と指針が得られるものと考えられる。
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